研究課題
目的遺伝座に2つのloxPを導入するための戦略として当初は2つのサイト上で1本鎖DNAドナーと各CRISPRを用いたノックインを導入する方法を試していた。しかしながら、2箇所が切断されたゲノムDNAは切断末端同士が非相同末端再結合の経路により結合してしまうことが多く、2箇所同時のノックインの効率は著しく低いことが判明した。更には、cisに2つのloxPが導入されるのではなく、transにloxPが導入されることもあり、この戦略によるfloxアレルの作製は困難であった。事実、6,000個以上の受精卵にインジェクションした結果、floxアレルを持つ個体は1匹であった。そこで、次にプラスミドDNAをドナーとしたfloxアレル作製に取り組んだ。すなわち、flox領域の両端をCRISPRで切断し、「flox領域の上流約1000から2000塩基対」と「2000から3000塩基対のfloxされたDNA断片」と「flox領域の下流1000から2000塩基対」が連結されたドナー2重鎖DNAを介した相同組換え修復によりfloxアレルを導入する系である。さらに相同領域の上流と下流にFRT配列を設置することで、floxを導入した染色体でランダムインテグレーションも生じた場合においてもFlp発現マウスとの交配によりランダムインテグレーションした外来遺伝子部位を除けるようなプラットフォームベクターを開発した。この結果、非相同末端結合による欠損変異も生じるものの、およそ5%程度の効率で目的のflox変異を誘導することに成功した。
2: おおむね順調に進展している
通常系統であるC57BL/6系統においてはCRISPR/Cas9と二重鎖DNAドナーを使用した目的の遺伝子変異誘導方法を確立することに成功したため。
今後は、C57BL/6で開発した方法をNODの遺伝背景をもつをマウスにて実施していき、ヒト遺伝子を高効率にノックイン可能な免疫不全マウスを開発していく予定である。
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Scientific Reports
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http://www.md.tsukuba.ac.jp/basic-med/lab-animal/