研究課題/領域番号 |
26870081
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
近藤 裕也 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40612487)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / T細胞 / 転写因子 / サイトカイン / 細胞内シグナル / 分化 |
研究実績の概要 |
1) マウス自己免疫性関節炎モデルの解析 RORγtを過剰発現するRORγtトランスジェニック(RORγt Tg)マウスに対してコラーゲン誘導関節炎を誘導し、抗原反応性T細胞はIL-17を産生し関節炎原性を持つとされるTh-17優位になっているにもかかわらず、関節炎の抑制が確認し、この抑制機序がRORγtを供発現したFoxp3陽性制御性T細胞による可能性を見出した。本検討結果については、Arthritis Research and Therapy(Kondo Y, et al. Involvement of RORγt-overexpressing T cells in the development of autoimmune arthritis in mice. Arthritis Res Ther 2015, 17:105)に掲載された。 2) 転写因子の相互制御機構の解析 CD4陽性T細胞の分化に関与する転写因子の相互制御機構を解析するために、従来用いていた転写因子の過剰発現マウスを用いた解析に加えて、新たにretrovirus vectorを用いたCD4陽性T細胞へのT-bet、RORγtのトランスフェクションによる実験系を確立し、分化制御機構のより詳細な解析を実施中である。 3) ヒト関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)における転写因子発現の評価 ヒトのRAにおける転写因子によるT細胞の分化制御機構を解析するために、新たにマルチカラーフローサイトメトリーを用いたT細胞サブセット、および発現する転写因子の網羅的解析プロトコルを作成し、現在RA患者の末梢血サンプルを収集して、健常人との比較、疾患活動性の関連解析を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) マウス自己免疫性関節炎モデルの解析 本検討については課題としていた解析を終了し、研究成果を論文報告するに至った。 2) 転写因子の相互制御機構の解析 retrovirus vectorを用いたマウスCD4陽性T細胞に対する転写遺伝子の発現誘導系の確立にいたり、現在更なる解析を行える状況となっている。 3) ヒト関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)における転写因子発現の評価 マルチカラーフローサイトメトリーを用いたヒトのCD4陽性T細胞における詳細なサブセット、および発現する転写因子を網羅的に解析するためのプロトコルが確定し、現在サンプル収集と解析の段階に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、転写因子の相互制御機構の解析、およびヒトサンプルの解析に注力して研究を継続する方針である。 2) 転写因子の相互制御機構の解析 確立したretrovirus vectorを用いたマウスCD4陽性T細胞に対する転写遺伝子の発現誘導系を用いて、転写因子の発現によるT細胞分化への影響、また分化制御にかかわる細胞内シグナル伝達分子の制御機構について詳細に解析し、これまで転写因子の過剰発現マウスのT細胞の解析から得られた結果との比較・検討を行う予定である。 3) ヒト関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)における転写因子発現の評価 マルチカラーフローサイトメトリーを用いたヒトのCD4陽性T細胞のなサブセット、および発現する転写因子の網羅的解析プロトコルを用い、引き続きRA患者の末梢血サンプルを収集して、健常人との比較、疾患活動性の関連解析を実施する。また手術献体などから関節炎局所のCD4陽性T細胞を用いて、上記と同様の検討を行うことを予定している。
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