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2014 年度 実施状況報告書

超電導機器を液体水素冷却した際の熱的安定性向上効果の熱特性把握による実験的検証

研究課題

研究課題/領域番号 26870082
研究機関筑波大学

研究代表者

中山 知紀  筑波大学, システム情報系, 助教 (90707853)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード熱伝導解析 / クエンチ保護
研究実績の概要

液体水素はその沸点(20 K)から高温超電導体の冷媒として利用が可能だと考えられているが,実際に直接的な冷媒として利用されたことはなく,液体水素中で熱が発生したときの沸騰の様子や熱伝達特性などの熱的特性が明確にされていない。また,高温超電導機器の安定な運用のためには,高温超電導機器の発熱と液体水素の冷熱の関係を明らかにする必要がある。
本研究課題において,平成26年度は液体水素で冷却した高温超電導コイルに熱擾乱が発生した際の,コイル周方向と巻線間方向の2次元の熱伝播の様子を解析する計算モデルを作成し,コイルの局所的な発熱状態を計算した。これにより,液体水素中で熱が発生した際の超電導コイルの各場所における温度変化や液体水素の沸騰する範囲を見積もることができるようになった。また,液体水素冷却の高温超電導コイルは液体ヘリウム冷却の高温超電導コイルに比べて,温度上昇の幅が小さく,狭い範囲の温度分布にとどまることが分かった。この傾向は,過去の液体水素冷却高温超電導コイルの1次元熱伝導による安定性解析結果とも一致するもので,新たにコイルの巻線間の熱伝導も考慮したコイル形状設計をする必要があることを明らかにした。
これによって,上記解析結果を反映して,液体水素の沸騰状態を明確にするための実験装置製作時の温度測定サンサ取付位置や視覚化範囲などを適切に設定することができるようになった。
上記結果は,2015年度春季低温工学・超電導学会研究発表会において発表を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

液体水素は可燃性の高圧ガスとしての取り扱いがされるため,非常に安全性に配慮した実験環境が求められる。この実験環境は,岩谷産業株式会社の中央研究所の液体水素実験設備を利用させてもらうことで整備する予定であるが,設備利用交渉や利用契約,条件などの整備といった事務処理上の手続きが未完了となっており実験に着手できない状態となっている。

今後の研究の推進方策

液体水素の沸騰特性および超電導テープ線に対する熱伝達特性を計測する実験装置の構築を目指す。しかし,液体水素可燃性の高圧ガスとしての取り扱いがされるため,非常に安全性に配慮した実験環境が求められる。この実験環境は,岩谷産業株式会社の中央研究所の液体水素実験設備を利用させてもらうことで整備する予定である。岩谷産業株式会社の中央研究所の実験設備環境に適した実験装置を作製し,高温超電導テープ線材表面材質,表面状態,設置角度,発熱の大きさ,外部磁場などを変化させて,さまざまな条件下での液体水素の熱伝達特性を明らかにする。
また,液体水素の熱シールドとして,周囲に液体窒素の貯留層を設けることが有効であると考えられているが,液体窒素と液体水素の間のそれぞれの熱分布を解析および測定を行って,適切な断熱層厚さや熱シールド層の外径などを見積もる。

次年度使用額が生じた理由

液体水素という可燃性の高圧ガスを取り扱う実験のため,防爆設備などが完備された実験環境として,岩谷産業株式会社の中央研究所を使用させてもらう計画になっているが,当該研究所の実験環境や実験装置の適合性などを考慮して,実験環境が整備されるまで実験装置の作製を留保しているため。

次年度使用額の使用計画

実験環境などの情報収集や実験装置の適合性を確認した後,液体水素の熱伝達特性を測定しその沸騰状態を明らかにするための実験装置作製に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 液体水素冷却での高温超電導コイルの熱伝播特性の評価2015

    • 著者名/発表者名
      佐々木 大樹, 中山 知紀, 石田 政義, 花田 信子
    • 学会等名
      2015年春季低温工学・超電導学会
    • 発表場所
      産業技術総合研究所つくばセンター(茨城県)
    • 年月日
      2015-05-27 – 2015-05-29

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公開日: 2016-06-01  

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