研究課題
本研究では、トポロジカル結晶絶縁体SnTeに磁性元素を添加して、それが表面状態に及ぼす影響を詳細に調べることが目標である。トポロジカル結晶絶縁体はトポロジカル絶縁体とは違って、表面状態が理論的には結晶の鏡映対称性によって担保されている。そのため、時間反転対称性が破れてもトポロジカル表面状態が保たれると考えられる。磁性元素の添加によって時間反転対称性は破れるが鏡映対称性は保たれる場合、磁性元素によって強磁性になる一方で表面状態も有効であるので、強磁性のトポロジカル絶縁体が実現できると期待される。本研究では、磁性元素としてMnやCrを用いてその検証を行った。その結果、MnとCrともに強磁性化することに成功した。添加濃度を変えていくと磁性の強さも制御できることが分かった。また、濃度によっては磁性元素が析出するが、析出せずに強磁性を発現させることに成功した。またこれらの磁性元素添加試料作製に先立ち、SnTe薄膜作製の条件最適化を行い、より平坦性の高い試料作製に成功した。また従来p型のため難しかったトポロジカル表面状態の観測を角度分解光電子分光装置によって行った。また強磁性体カルコゲナイドCrTeについて、SnTe上にエピタキシャル成長できることを明らかにした。これによって、SnTeと強磁性体の接合の作製に成功した。磁性元素ドーピング以外にもこの手法によって、強磁性近接効果による強磁性表面状態の実現が期待される。これらで得られた成果は学会や論文において発表を行った。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件) 備考 (3件)
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http://researchmap.jp/rakiyama/
https://www.researchgate.net/profile/Ryota_Akiyama
http://www-surface.phys.s.u-tokyo.ac.jp/top_j.html