生活習慣病は普段の生活習慣が発症や進行に深く関わっており、糖尿病、高脂血症、高血圧とそれらを危険因子として発症する動脈硬化症がある。動脈硬化症とは動脈の内壁にコレステロールなどの脂質が付着し、しだいに線維増殖が起き硬化し、内腔が狭くなる病態のことである。血液が流れている間は患者に自覚症状がないまま徐々に進行し、突然血栓や出血などの血行障害が生じ、心疾患や脳卒中など致命的な病気が発生する。これら疾患は我が国の死因の第2位と第3位であり、その予防および疾患の早期発見・予防は急務な課題である。 これら動脈硬化・高血圧の発症・進行を防ぐには、発症前・悪化前からの健康管理が必要である。日常生活の中で個人の状態を正しく把握し、健康異常の兆候が発見された時には早期に処置や対策を施すことが必要であり、これらを容易に実現しうるヘルスケアシステムが求められる。 これまでの研究により、緑色光による脈波計測によって家庭内での脈波伝搬速度計測が可能となることが示唆された。しかしながら緑色光による脈波計測は近年の著しい光デバイス技術の向上により可能となった手法であり、従来法の近赤外光に比べいまだ基礎的検討は不足していた。緑色光による脈波信号を用いた脈波伝播速度計測の精度について検証した結果、従来の近赤外や、心電図と脈波信号を用いた計測手法と同様の精度が得られた。さらに、脈波伝搬時間の検出方法が脈波伝播速度計測の精度に与える影響について検証を行なった。
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