本研究課題では,高活性な直接エタノール燃料電池(DEFC)用の複合触媒を開発した.金属間化合物―金属酸化物―炭素間の相互作用に着目した触媒設計を行い,触媒活性および電池性能について検討を行った. 調製した試料については粉末X線回折分析により,金属間化合物が生成していることを確認した.電気化学測定により,PtPb/TECNFおよび,白金担持酸化チタン包埋カーボンナノファイバー(Pt/TECNF),Pt/C(市販触媒)について,0.5 Mエタノールの酸化活性を評価した.その結果,0.70 V vs. RHEにおける質量活性はPtPb/TECNFが最も高く,Pt/C(市販触媒)の約6倍の高い活性を示した.COストリッピング測定により,金属間化合物―金属酸化物―炭素間はCO吸着が検出されない結果が得られ,相互作用によりCO耐性の増加が示唆された.本研究を進める中で,PtPb/TECNFは従来触媒と比べて触媒安定性が低い点が明らかになり,今後の課題になっている.PtPb/TECNFをDEFC単セルに組み込み,電流-電圧曲線を取得した.PtPb/TECNFを組み込んだDEFCはPt/C(市販触媒)と比べて高い最大出力密度を示すことが明らかになった.PtPb/TECNFを組み込んだDEFCはPt/Cを組み込んだDEFCと比べて高い開回路電圧を示し,ハーフセルでの測定結果と整合した.本研究で得られた知見を金属―金属酸化物―炭素間の複合触媒へ展開した. 以上の検討により,金属間化合物―金属酸化物―炭素の相互作用による,高活性な触媒開発に成功した.複合触媒PtPb/TECNFについては電池単セルの出力密度が市販触媒よりも高い点を明らかにした.
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