研究課題/領域番号 |
26870096
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
前田 慎市 埼玉大学, 研究機構研究企画推進室, 助教 (60709319)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | デトネーション / 水素燃焼 / ガス銃 / 飛行体、飛翔体 |
研究実績の概要 |
初期圧力120 kPa~450 kPa下の水素・酸素デトネーションを駆動源とする、一段式ガス銃および二段式ガス銃を構築し、その射出性能を実験的に明らかにした。 (1)駆動ガスを生成するデトネーション管の起爆機構として、副室からの燃焼ガスジェット噴射を採用し、非常に短距離(管直径の4倍以内)でデトネーション遷移を達成することに成功した。また、デトネーションにより初期圧力の20倍以上である10 MPa程度の圧力を有する燃焼ガスが生成されることを確認した。 (2)デトネーション駆動一段式ガス銃では直管2本のみで構成される非常にシンプルな構造で、飛行体速度は最大1.6 km/sを得た。加えて、飛行体速度はデトネーション管長さに依って変化するデトネーション波背後の非一様な圧力分布に依存することを明らかにした[前田ら, 日本機械学会論文集, 2015]。理想的な定容燃焼を仮定した一段式ガス銃モデルと比較検証を行った結果、デトネーションを用いることで定容燃焼の理論速度に匹敵する飛行体速度を得られることが分かった。 (3)燃焼器内の作動ガスへデトネーション波を起爆するのにより適した高い飛行体速度を得るため、デトネーション駆動一段式ガス銃に、フリーピストンを用いてヘリウムを圧縮する圧縮管を追加した二段式ガス銃を構築した。これにより、飛行体速度は最大2.5 km/sを得た。一段式ガス銃と比べて構造のシンプルさは失われるものの、同じ駆動源を用いて2倍近い飛行体速度が得られることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画であった気体デトネーションを駆動源とする高速ガス銃が実証され、飛行体加速手法として有効であることが確認されており、ほぼ予定通りの実験を行うことができた。さらなるガス銃形状の最適化が見込まれる結果が得られているため、全体の達成度は80%である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)今年度から、ガス燃料を用いた完全予混合状態の作動流体を燃焼器に充填した燃焼実験を開始し、飛行体によるデトネーション波および衝撃波誘起燃焼の起爆実験を行う。六フッ化硫黄(SF6)を作動ガスの添加剤として用いることで、より低い飛行体速度でデトネーション起爆可能な作動条件が得られる可能性があるため、六フッ化硫黄(SF6)を添加した可燃性混合気のデトネーション特性を確認する予備試験を開始している。高速度カメラを用いた可視化手法を活用し、起爆条件とそのメカニズムの解明を目指す。 (2)平成26年度の結果から、飛行体射出時に駆動ガス圧力がまだ相当な(数10気圧程度)圧力を有していることが確認された。発射管の延長によってさらなる飛行体速度の上昇が見込まれるため、ガス銃形状の最適化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
飛行体開始型デトネーション燃焼器試験器の製作にあたり、本年度製作分は空気充填のみ可能とするように仕様変更する必要が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
飛行体開始型デトネーション燃焼器試験器の追加工および部品追加により、作動流体の充填機能を追加することで、燃焼試験を可能とするために使用する。
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