死体の個人識別のために、年齢推定は重要であり、骨の観察は古くから年齢推定の手段として用いられてきた。しかし、骨の観察による年齢推定の確実な手段は、特に成人死体においては現在も確立されていない。法医学領域でCTの導入が進んでいるが、CT画像を用いた人類学的な骨の評価は現在研究が進められている分野である。本研究では、恥骨結合をCTで観察し、恥骨結合面の中央で、左右恥骨が平行になる部分が加齢に伴い増加する傾向にあることを示した。直線回帰分析による年齢推定式を求めたが、従来法より優れたものではなかった。また、通常の法医解剖では観察が困難である口蓋縫合の観察も試みた。
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