研究実績の概要 |
切除不能進行膵癌の第Ⅲ相ランダム化比較試験(GEST)が実施され、GEST参加者から遺伝子解析の同意が得られた188名を対象に、最新のSNPアレイ(Illumina OmniExpress BeadChip 約73万個の遺伝子多型)を用いたゲノム網羅的関連解析を行った。主要評価項目である全生存期間と73万SNPsとの関連を調べた結果,3つのSNPsが同定された(p<10-7)。 これらのSNPsとその主な結果は, 第3染色体上のgenome SNP (rs1915948; CC[n=4]の生存期間中央値(MST)は3.7ヶ月, CT + TT [n=184] のMSTは10.4ヶ月, p=6.9X10-8), SPATA31E1のsynonymous SNP(rs12238266; CC[n=102]のMSTは12.2ヶ月, CT [n=74]のMSTは8.6ヶ月, TT [n=12]のMSTは21.4ヶ月, p=1.0X10-7), VITのintron SNP(rs721348; TT [n=9]のMSTは10.6ヶ月, CT+TT [n=179] のMSTは5.5ヶ月; p=1.0X10-7)であった。 Cox回帰分析で治療法と遺伝子多型の交互作用を評価したところ,これらのSNPsの交互作用は有意でなかったことから、予測因子ではなく予後因子としての機能を果たすと考えられた。 さらに、副次評価項目である無再発生存期間や腫瘍縮小効果と73万SNPsとの関連をCox回帰分析及びロジスティック回帰分析を用いて実施した。その結果、全生存期間と関連があった3つのSNPsはこれらの評価項目とは関連が見られなかった。
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