研究課題/領域番号 |
26870108
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
太田 実雄 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (60392924)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | GaN / Si / スパッタ |
研究実績の概要 |
Siの微細加工によって作製されるMEMSは情報通信や医療・バイオ、自動車など多岐にわたる分野で応用が進められているが、光応用においては光源の集積化が困難であったため、素子の小型化や高機能化が滞っていた。本研究では、Si系MEMSと窒化物系LEDを集積した新構造MEMSを実現するために、Si(111)基板上に窒化物系発光素子(LED)を低温で作製する技術を開発する。本年度(平成26年度)は、パルススパッタ法によるSi基板上への高品質GaNエピタキシャル成長技術の確立に努めた。エピタキシャル成長の成功には、薄膜/基板間の界面が急峻性に優れることが不可欠である。Si上への成長ではメルトバックエッチングと呼ばれるGaとSiの反応が起こることが知られており、これを抑制するためにAlN界面バリア層を挿入した。界面バリア層が無い場合にはGaN/Si間の界面において反応が生じ、良質なGaN結晶を得ることは困難であったが、AlN層を導入することによって界面反応が抑制されることが明らかになった。また、AlNバリア層の堆積条件をコントロールすることでその上に積層するGaN薄膜の極性を制御できることが明らかになり、発光素子や電子素子の応用に適した構造設計が可能となった。また、我々はこれまでの研究において、高品質GaN薄膜の低温成長には、Ga/N原料供給比が極めて重要であることを見出している。そこで、低温成長において、原料供給比や温度を精密に制御したところ、化学量論性を満たす表面組成において表面平坦性の高いGaN薄膜が得られることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、パルススパッタ法によるSi(111)基板上へのGaN薄膜低温成長技術を開発することを目的としている。この目的を達成するため、窒化物薄膜/Si基板の急峻な界面の実現、薄膜成長条件の最適化を行った。AlNがバリア層として有効でありメルトバックエッチが大幅に抑制できること、低温成長では原料供給比の制御が重要であることを見出した。このように、本年度の進捗状況は、ほぼ計画通りに順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、LED作製のための要素技術開発を引き続き行うとともに、LEDの試作に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用しているプロセス関連装置の一部に故障が発生し、その修理に時間を要した。そのため、今年度使用予定であった消耗品費の一部を次年度使用額とした。
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次年度使用額の使用計画 |
復旧した装置を使用した実験を行う。また、それ以外は当初計画通りに進める予定である。
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