研究課題
全エキソーム解析法により、国内のパピヨン犬に散発的に発生する神経軸索ジストロフィー(NAD)の原因遺伝子を特定した。本研究では、(A)多症例のパピヨン犬において変異の大規模スクリーニング検査を行い、キャリア犬を摘発すると同時に、(B)同変異が疾患の病態発生に与える影響について調査する。平成28年度の研究結果を以下に示す。平成28年度は、前年度に引き続き未発症パピヨン犬のDNAサンプルを収集し、同定された変異のジェノタイピングを行った。ジェノタイピング検査では、収集した未発症の個体はいずれも野性型のアリルを有しており、今回同定された変異の浸透度は極端に低いことが示唆された。また、前年度および前々年度の反省を踏まえ、パピヨン犬、チワワ犬以外の犬種についても大規模に変異を調査してみたが、いずれの犬種からも変異個体を摘発することはできなかった。以上の成果については学術誌Plos oneに公表した。また、前年度の研究より、オートファジーに関連するタンパク質(LC3 (microtubule-associated protein light chain)、p62、ATG5、Beclin1、ATG16L)がNAD症例の病変部であるスフェロイドに蓄積していることが判明した。特にATG5、ATG16L、Beclin1については初期のオートファゴソーム形成に関連するタンパク質であることから、発達段階の種々のオートファゴソームが病変部に蓄積していることが強く示唆された。本成果については現在、学術誌へ投稿中である。
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Plos one
巻: 12(1) ページ: e0169002
10.1371/journal.pone.0169002