トゲオオハリアリを用いて,脳,卵巣および腹部脂肪体における生理活性物質や遺伝子の発現解析を行った.脳内物質の順位やカーストごとの定量化および,投与実験によって,脳で作られるドーパミンが卵巣発達を促す神経ホルモン作用を持ち,女王や高順位個体で脳内濃度が上昇することを突き止めた.また,次世代シーケンサーを用いた網羅的な遺伝子発現解析によって,インスリン経路や糖・脂質・アミノ酸の代謝に関わる経路がカースト間で大きく異なっていることを明らかにした.さらに,貯蔵タンパクがワーカー特異的に発現しており,ワーカーの不妊化が単独性種の休眠状態を模した表現型としてもたらされていることを示した.
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