本研究では,建築設計コンペを模した実験を行い,異なる建築家の設計プロセスに共通して現れる特徴を,土地の形や施主の要望といった設計条件との関係から確かめた。実験は,実務者5名を対象として,実際の設計案件を応用した2条件で行われた。実験の結果,設計条件が厳しい場合には,設計者が異なっても,提出された最終案には共通する構造が現れやすいこと,条件が緩い場合には,そのような構造は現れにくいことが確認された。以上の結果を先行する知見と合わせて考察し,設計者をまたいで設計行為を制約する「マクロな制約」の存在を展望した。
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