今後の研究の推進方策 |
1.IgA抗体誘導に重要なケモカインXの同定と応用:当初の計画通りIgA抗体誘導に重要なケモカインX同定とそれを経鼻ワクチンに応用することを目指す。IgA抗体に重要な細胞はCD4T細胞であったので、文献からCD4T細胞に関連するケモカインを調べそれらがIgA抗体誘導に重要か確認する。具体的には、感染マウスから脾細胞を採取し、γ線処理マウスに移入し抗原(HA)を投与する。細胞移入からDay1, Day3, Day5, Day7, Day14で鼻腔粘膜もしくはNALTを回収し、組織中で上昇しているケモカインをリアルタイムPCRで解析する。有意に検出できたケモカインに関して、さらに定量ELISAで解析を行う。有意なケモカインを同定できたら経鼻ワクチンと併用し、アジュバントとして有効か検討する。 2.ヒトリンパ球での解析:これまでマウスで明らかにしてきたことを、ヒトの細胞でも同様の現象が起こるか解析する。具体的には健常人から末梢血を採取しヒトリンパ球を精製する。それを超免疫不全マウス(NOGマウス)に移入し抗原(ワクチン)を投与する。細胞移入から2週間後に鼻腔洗浄液を回収し、特異的なIgA抗体が誘導されるか解析を行う。すでに倫理委員会に実験計画書を提出しており、承認されている(承認番号:26-54-1009)。 3.自然免疫系との関連性:これまで明らかにしてきたことに関して、自然免疫系との関連性を解析する。具体的にはCRISPR-Cas9システムを用いて、Myd88ノックアウトBalb/cマウスを作製する。ノックアウトマウス作製のための材料や設備は整っている。Myd88ノックアウトマウスにインフルエンザウイルス(A/PR8)を感染させ、4週間後脾細胞を採取する。それを野生型マウスに移入し抗原を投与する。その2週間後、鼻腔洗浄液を回収し特異的IgA抗体レベルを解析する。
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