我々は卵巣粘液性腫瘍に関して、特に胃腸型と内頚部型の違いに着目して研究を遂行した。内頚部型粘液性腫瘍に関しては、内膜症関連腺癌(明細胞腺癌、類内膜腺癌)で高頻度に変異が存在することが知られているARID1A遺伝子の異常の有無を検討した。その結果、内頚部型境界悪性粘液性腫瘍の一部にARID1A異常が検出された。ARID1A異常は併存する内膜症性上皮において確認された。ARID1A異常は胃腸型粘液性腫瘍においては確認されなかった。以上の結果から、内頚部型粘液性腫瘍の発生にARID1A異常が関与していること、ARID1A異常は腫瘍発生の早期の段階で起きることが示唆された。
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