研究課題/領域番号 |
26870134
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
横田 慎一郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90599490)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | データ二次利用 / 看護必要度 / 入院中の転倒 / ビッグデータ |
研究実績の概要 |
第一四半期は、電子カルテデータ二次利用による患者転倒リスク予測に関する、これまでの研究内容をベースとして新たな分析を加えて論文としてまとめ、日本医療情報学会の刊行する学術雑誌に投稿し、原著論文として掲載された(横田, 他. 電子カルテデータを利用した後ろ向きコホートによる患者転倒リスク予測式の構築・評価・実装手法. 医療情報学34(3). 2014; 119-128.)。また、今後の研究内容について東京大学の設置する医学部倫理委員会より研究実施の承認を得た。 第二四半期より、電子カルテシステムに蓄積されたデータより、病院全体について、また患者個人について転倒予防や転倒リスク予測に使用可能なデータの探索・検討を開始した。その過程と結果について、第34回医療情報学連合大会(第15回日本医療情報学会学術大会)において口頭発表を行った(横田, 他. 電子カルテデータを用いた推定式による入院時転倒発生件数の算出.医療情報学34 (Suppl.), 2014:754-755.)。また関連領域の情報収集のため、12th International Congress on Nursing Informatics、第16回日本医療マネジメント学会学術総会、第34回日本看護科学学会学術集会へ出席した。 第三四半期以降、検討を経て決定した電子カルテデータの各種別について、データ収集・データクリーニング・データベース作成を開始し、これらの作業と並行して適切な分析方法についての検討を行った。また、一部のデータについて統計解析を含めた分析を開始し、一般化可能性を秘めた患者個人に関する転倒リスク予測モデルを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電子カルテシステムに蓄積されたデータより、解析に用いるデータ種別の検討と、収集・クリーニングを実施し、計画通りデータベースを構築した。特徴は、ある一日について院内横断的に、どの診療科でどの病棟に入院している、どのようなADLの状態の患者が転倒したかあるいは転倒しなかったかを俯瞰することができ、また必要に応じて絞り込むことができる点である。これにより収集したデータ群の特徴を捉えることができるようになった。このデータベースを活用して様々な角度からデータを検証・分析し、病院としての転倒リスク指標の土台となると考える、患者個人に関する新たな転倒リスク予測モデルを構築した。
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今後の研究の推進方策 |
構築した患者個人に関する転倒リスク予測モデルを応用し、病院としての転倒リスク予測モデルを構築する。また関連する領域の学術雑誌への投稿や学術集会での発表を通して研究成果について議論・意見交換を行い、より洗練させることを目指すとともに、臨床現場での実際の活用方法について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画的に執行した結果として278円の未使用額が生じたが研究遂行に支障は来していない。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度についても物品購入費、学術集会旅費、論文チェック等のために適切に計画通り執行する。
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