研究課題/領域番号 |
26870135
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山邉 昭則 東京大学, 総合文化研究科, 特任講師 (70533933)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際比較 / 高等教育 / 基礎教育学 / リベラル・アーツ / 科学技術史 / 科学教育 / 学習支援 / 生涯学習 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトは、人文・社会科学を中心とした国際比較の手法に基づき、高等教育機関の知の社会発信(アウトリーチ)及び隣接の学術支援システムに関する今日の諸活動を対象とし、その戦略についての新しい知見の創出を目指すものである。初年度に当たる平成26年度は、フィージビリティ調査を兼ねた国内外の文献精査を行うとともに、早期に、日本における本テーマの現況に関する研究を、複数の国際学会で発表した。また、関連論文を刊行した。
文献精査に関しては、海外のアウトリーチ、サイエンスコミュニケーションに関わるものに加えて、世界の高等教育の現在を客体化する歴史研究の重要性を考え、古代ギリシア・ローマ以降の知の歴史(大学の歴史)について探索を行い、本テーマが広義で「リベラル・アーツ」の思想の流れに位置づけられることを考察した。 国際学会に関しては、アメリカ、イタリア、オーストラリアにおける高等教育系の学会で発表を行うとともに、海外の研究者・実践者との効果的なネットワークの構築を実現した。北ヨーロッパでは、アーティストやデザイナーなど、これまでの学術的議論で見落とされる傾向にあった隣接不可欠のアクターへのヒアリングも行い、その重要性を確認した。
高等教育の国際比較研究として、先行調査も兼ねて実施していた論文をまとめ上げ、科学教育研究の枠組みにおいて発刊した。また、関連領域として、倫理・哲学に関わる海外の学術文献の翻訳も実施し、出版した。本研究プロジェクトは創発的・新規的テーマであることから、初年度は広く俯瞰的なアプローチを重視した。次年度はその統合及び理論化に軸足を置き、引き続き積極的にプロジェクトを推進する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究プロジェクトの主要な方法の一つである国際比較研究に基づき、初年度は3回の国際学会発表と複数回の国内学会発表を行い、さらに国内外でのヒアリングを実施した。研究計画の他の要素についても、適宜進められている。継続的な学術発信と調査が実現しているものと評価される。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究成果を踏まえ、平成27年度は本研究プロジェクトを仕上げるため、国内外の状況調査を引き続き実施するとともに、その統合と体系化を目指す。 また、政策的・制度的議論、ならびに新技術を取り入れた議論も組み込み、アクチュアルな成果を志向する。他方で、本研究プロジェクトが扱う世界的な新潮流と大学の普遍的な価値の間で生じる学術的緊張関係を能動的に捉え、研究を深化させていく。
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