研究実績の概要 |
本研究は、今後のオープン・エデュケーションの広がりを視野に入れた高等教育の国際比較を趣旨とするものである。主に日米の現状に焦点を当てて研究を進め、国際学会等で報告を行った。米国ではMIT,ハーバード大学、スタンフォード大学、日本では東京大学、京都大学を中心にMOOCの調査を実施した。例えば東京大学でいえば、courseraやedxの活用が挙げられる。2013年9月よりcourseraで2コースを提供して以降、2014年度までに全6コース(coursera4コース、edx2コース)が提供された。世界180か国以上から累計21万人以上が登録し、修了者は約1万2千人を超える規模とされる。コース提供元のアンケート調査によると、MOOCの提供が大学の国際的知名度の向上に寄与する効果が示された。2015年度は、既に開講されたコースをいつでも受講できる常時開講コースに順次移行する試みも行われた。提供されるテーマは、宇宙科学、国際政治、メディア、日本文化、建築、国際保健まで多岐にわたる。MOOCの活用の目的は様々あり得るが、最も意識されていたのは「大学の国際化の促進」である。MOOCの広がりは、高等教育機関の厳しい国際競争の裏返しの事象と捉えることができよう。本研究におけるヒアリング調査でも、優秀な学生の発掘、海外の研究者及び留学生受け入れの促進、学習や教育に関わるビッグデータの収集と分析等と関連して提供されていることが明らかとなった。こうした点は国内外の高等教育機関で共通する背景といえる。最終年度の高等教育関連の研究成果については、査読付論文1報、書籍3冊(編著1冊、分担執筆2冊)、国際学会発表3報であり、総じて積極的に成果を上げることができた。
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