研究課題/領域番号 |
26870143
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
宮部 賢志 明治大学, 理工学部, 専任講師 (00583866)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | algorithmic randomness / Schnorr random / reducibility / computability |
研究実績の概要 |
測度論の計算可能性を考える時,関数や集合の計算可能性と,考える必要のあるランダム性との関連が重要である.そこで,関数や集合の計算可能性の階層を,ランダム性の程度という観点を通して調べる研究を進めてきた. ランダムネスの理論では,様々なランダムの概念が定義され,そこには階層が存在する.また「よりランダムである」という概念もまたランダム性の帰着を通して調べられてきた.これまでの研究では,それぞれのランダムの概念に対して相性の良い帰着を見つけることが主眼におかれてきた.それに対し,筆者はどの概念とどの帰着が概念として適合しているのかを一通り調べる研究を行った.これにより,弱いランダムの概念に対応する帰着ほど振る舞いとしては安定していることが分かった.SchnorrランダムネスやKurtzランダムネスに対応する帰着として知られている決定可能帰着や全域機械帰着(total machine reducibility)などは,これまであまり注目されてはいなかったが,多くのラインダムの概念との整合性があることが分かった.また,Schnorr帰着が不自然に様々な概念をつぶしていることが分かるなど,帰着の振る舞いの違いを見ることができた. 更に,一様な計算可能関数に対して,ランダム性がどの程度保持されるのかという逆向きの問題にも取り組んだ.この問題は,ランダムネスの概念のMuchnik次数とMedvedev次数という古典的な問題設定に帰着される.その解決にはランダムネスの理論における様々な結果(ごく最近の結果も含む)を集めて解かれた.これまで一様な計算可能性についての研究は少なかったが,確率論の言葉を通して自然な対応を見つけることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計算可能測度論において,解析の概念とランダムネスの概念の対応関係は本質的な問である.ランダムネスの階層について,測度論の概念を用いた非自明な結果が得られており,理解が純情に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
各層計算可能性やa.e.計算可能性などの概念は,比較的最近定義され,その重要性は認識されているにも関わらず,その性質の調べ方については混乱しているように思われる.これまでの筆者の研究はその方角について試行錯誤してきたものである.これまでの結果を元に,関数の計算可能性をランダム性の観点から調べる研究をより推進する.
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