本研究では,次世代の太陽電池として注目されている有機太陽電池の高効率化に資する材料開発を行った.高効率化の鍵は,太陽光エネルギーの約40%を占める近赤外光を効率的に吸収する新規活性層材料を開発することである.本研究では,890 nmの近赤外領域まで吸収出来るキノイド型材料を開発した.これらの材料を活性層とした有機太陽電池が,近赤外領域において光電変換可能であることを明らかにした. 新たな長波長吸収材料の分子デザインとして,従来までの設計指針を拡張したホウ素含有錯体を設計し,その合成に成功した.この錯体の吸収波長は1050 nmに及び,太陽光の効率的な吸収に有効な分子の創製に成功した.
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