海洋の窒素固定は貧栄養海域における新生産の窒素化合物として重要である。近年の地球温暖化の影響を含む10年~100年スケールの窒素固定量の変動は未だ明らかになっていない。本研究ではカリブ海の造礁サンゴ骨格を用いて、過去94年間の窒素同位体比の変動を復元した。その結果、カリブ海の窒素固定量は大西洋数十年規模振動(AMO)と同調して変化しており、水温および海流により窒素固定量が支配されている可能性を示唆した。また過去94年間において、水温の上昇とともに窒素固定量が減少してきたことを示した。さらに過去の温暖化地球における窒素固定量を復元するため、カリブ海にてMIS5eの保存の良いサンゴ化石を採取した。
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