研究実績の概要 |
本研究ではグラフェンの成長基板からシリコンやガラスなど対象基板への高効率転写を行った。 グラフェンはCu箔上に化学気相蒸着法(CVD)などで合成する手法が一般化されている。しかし、Cu箔上に合成したグラフェンはデバイスとして応用するに当たってチップなどの基板上で固定して使用する必要がある。 今回の研究では対象基板上に単分子自己組織化膜(SAM)を配置し、その上にグラフェンを転写することによって高効率かつ高品質のグラフェンの転写に成功した。 その際、SAMにはvinyltrimethoxysilane,2-(3,4-epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane、bis(3-(triethoxysilyl)propyl)tetrasulfide、monoglycidyl eher-terminated polydimethylsiloxaneを候補として挙げてグラフェンの転写を確認した。これにはシラン基が基板への固定に大きく関与していることから選定した。しかし、 bis(3-(triethoxysilyl)propyl)tetrasulfideを用いると両端にシラン基を有しているため、グラフェンおよび基板への有効な転写が期待されたが、グラフェン側へのシラン基はグラフェンが薄すぎる故成長基板への反応があったため適していなかった。よって基板側がシラン基、グラフェン側がエポキシ系の修飾基をもつ2-(3,4-epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilanが適しているとわかった。
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