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2014 年度 実施状況報告書

絶滅危惧種ヤクタネゴヨウの保全に資する菌根菌の探索

研究課題

研究課題/領域番号 26870163
研究機関東京大学

研究代表者

村田 政穂  東京大学, 新領域創成科学研究科, 特任研究員 (20582381)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードヤクタネゴヨウ / 外生菌根菌
研究実績の概要

樹木の養分吸収の大部分は根に共生する外生菌根菌(以下、菌根菌)によってまかなわれているため、樹木の保全には、樹木だけでなく土壌中の菌根菌を含めた対策をとることが必要である。本研究では、樹木の保全と保護に菌根菌を活用した新たな手法を開発することを念頭に、屋久島と種子島に分布する日本固有種で、絶滅危惧種に指定されているヤクタネゴヨウを一つのモデルケースとして基礎的な研究を行った。特に、ヤクタネゴヨウ林分にどのような菌根菌が生息しているか、ヤクタネゴヨウの実生にどのような菌根菌が感染するか、菌根菌が実生の成長をどの程度促進するのかを明らかにすることで、ヤクタネゴヨウ保全ための基礎研究とするのを目的とし、「ヤクタネゴヨウ残存林分内に生息する菌根菌群種の特徴」と「ヤクタネゴヨウ実生に共生する菌根菌とその機能」の2つの実験を行った。
2つの実験ともに調査は鹿児島県の屋久島2林分(26と21地点)と種子島1林分(32地点)のヤクタネゴヨウ成木の周辺で5×5×10cmの土壌ブロックを採取した。
「ヤクタネゴヨウ残存林分内に生息する菌根菌群種の特徴」では、採取した土壌サンプルから樹木の根を取り出し、実体顕微鏡下で観察して菌根の形態類別を行った。各サンプルで見られたそれぞれの菌根形態タイプについて。rDNAのITS領域の塩基配列を用いて菌種の同定を行った。その結果、ヤクタネゴヨウ林分ではCenococcum geophilum、ショウロ属、イグチ科、ベニタケ科、イボタケ科、カレエダタケ科の菌根菌が高頻度で検出された。
「ヤクタネゴヨウ実生に共生する菌根菌とその機能」では、サンプリングした土壌から根などの粗大有機物を取り除き,約1ヶ月間常温で風乾し,バイオアッセイに供した。バイオアッセイは,チューブに土壌を入れ,ヤクタネゴヨウまたはゴヨウマツ、アカマツ、スダジイの種子を植えて現在育苗中である(6ヵ月間、育苗予定)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

屋久島や種子島で、追加調査の必要があるものの、昨年行った調査実験の結果は、すでに解析が終了し、3月に日本森林学会第126回大会にて発表を行った。したがって、おおむね順調に進展していると思われる。

今後の研究の推進方策

1.播種から6ヶ月後にバイオアッセイ実生を採取する。実生の乾重を測定する。2.実生の菌根の観察とDNA解析:前年度に現地土壌から採取した菌根と同様の手法によって実生の菌根の菌種を同定する。3.データ解析:ヤクタネゴヨウ実生に感染した菌根菌の種構成と成木から得られた種構成を比較し、休眠胞子に依存した菌種を特定する。ヤクタネゴヨウ以外の樹種との結果の違いから、バイオアッセイに用いた樹種の影響を評価する。また、滅菌した対照区とバイオアッセイ区の成長差、感染した菌根菌の種を総合的に解析し、実生の成長におよぼす各種菌根菌の影響を明らかにする。結果は論文として発表する。

次年度使用額が生じた理由

種子島で行う予定であった調査を2林分から1林分に変更になり、サンプリング数が当初の予定より少なくなり、物品費が予定よりも少なくなったことが理由である。

次年度使用額の使用計画

使用する研究費は菌根菌の種の同定のためのDNA解析用の消耗品費を中心とした物品費として900,000円、調査地や学会発表のための旅費として150,000円、その他論文投稿時の英文校閲などの費用として50,000円を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ヤクタネゴヨウ林分の外生菌根菌群集2015

    • 著者名/発表者名
      村田政穂,金谷整一,奈良一秀
    • 学会等名
      日本森林学会
    • 発表場所
      北海道大学(北海道札幌市)
    • 年月日
      2015-03-27 – 2015-03-29

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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