研究課題/領域番号 |
26870167
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
嶋田 行志 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (20466775)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | フォトニック結晶 / ナノチューブ・フラーレン / 光物性 / ナノ材料 |
研究実績の概要 |
直接遷移型バンド構造を有する半導体的単層カーボンナノチューブは光通信波長帯で発光を示す。本研究ではこのナノチューブと共振器とを光結合させて室温でレーザー発振することを目指している。このためには1)ナノチューブ試料における光利得を高める工夫と2)共振器の局在道はモードと共振器モードをナノチューブの吸収・発光のそれぞれに同調させることを提案している。 研究の初年度はナノビーム共振器において孤立架橋ナノチューブと光結合させることに成功し、ナノチューブ発光の85%近くをナノビーム共振器に取り込ませることに成功した。一方で、シリコンフォトニック結晶共振器においてはフォトニックバンドギャップ外にある局在導波路モードをフォトニックバンドギャップ内にある共振器モードが空孔サイズ、格子定数などの設計値に応じて意のままに制御できることを世界で初めて示した。 これらは、ナノチューブが1)ナノ光源として有力であり2)シリコンフォトニック結晶などの共振器構造と極めて相性が良いことを強く支持する結果である。 初年度の結果を基に、幾つかのカイラル指数のナノチューブを狙って共振器構造を作成し、さらに飛躍的に光結合効率を高められることを今後実証していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目論見どおりの共振器構造を作成することに成功し、それが有用であることを示すことができた。ナノチューブの光利得を高めるためにはナノチューブ試料の状態が重要であることも実証できた。今後、ナノチューブ試料と共振器構造の光結合効率を高めるための方針も概ね得ることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
初年度で得られた共振器構造のモード設計に関する知見、ナノチューブ試料と共振器構造の光結合効率に関する知見、またこれらナノチューブ-フォトニックデバイスを作製するために必要なプロセスに関する知見をもとに、狙ったナノチューブのカイラル指数に最適なフォトニックデバイス作製し、実証実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表より論文発表を優先したため当初予定より旅費使用額に差が生じた。論文発表についてはオープンアクセス費用を上乗せした。
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次年度使用額の使用計画 |
継続的な研究のためにはフォトニック結晶デバイス作製のためのクリーンルーム費用が必要でありこれと、国内学会発表旅費に充当する計画である。
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備考 |
上記はNature Communicationsの注目の論文に選出された記事。
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