本研究は、メディア技術と近代家族とが結びつき、「未熟さ」を価値の準拠点としてナショナルな自己イメージを産出していくという構造に注目した。こうしたメディア技術と近代家族の構造的関係の歴史的淵源は、1920年代前後の近代日本の社会変動にあった。日本の近代家族が姿を現していったのはこの時期であり、彼らは本格化する消費社会の主人公となって、新たなメディア技術の社会的需要を方向付けるようになった。童謡、松竹少女歌劇、ジャニーズ、「スター誕生!」等をめぐる各種の「未熟さ」の文化を仔細に検討することで、そのようなメディア技術と近代家族の構造的関係を解明することができた。
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