口腔扁平苔癬は、臨床診断と病理組織学的診断を合わせて診断される。そこで、先ず臨床診断と病理組織学的診断の相関について検討を行った。対象は、2001年から2010年の間に東京医科歯科大学顎口腔外科を受診し、臨床的に口腔扁平苔癬と診断された951例のうち病理組織学検査を施行した761例とした。761例のうち553例(73%)が病理組織学的に口腔扁平苔癬と診断されていた。口腔扁平苔癬と診断されなかった病変は、Licheniod dysplasiaが31例,Epithelial dysplasiaが48例,Hyperkeratosisが23例,SCCが3例であった。次に、553例のうち6か月以上の経過観察を行った416例836病変について臨床的検討を行った。臨床視診型は、網状型が430病変(51.4%),萎縮型が178病変(21.3%),びらん・潰瘍型が228病変(27.3%)であった。発生部位は、口唇が44病変(5.3%),頬粘膜が350病変(41.9%),歯肉が338病変(40.4%),口蓋が21病変(2.5%),舌が77病変(9.2%),口底が6病変(0.7%)であった。また、416例のうち236例に細菌検査が施行され、130例(55%)に口腔カンジダ菌が検出された。口腔扁平苔癬は、多彩な病態を示すため、病理組織検査を施行する際には検体として採取する部位を考慮する必要があると思われた。 今後は、臨床および病理組織学的に口腔扁平苔癬と診断された症例について免疫組織学検討を進めていく予定である。
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