研究課題
<具体的内容>好塩基球はアレルギー疾患誘導において重要な役割を果たす細胞の一つであるが、転写因子による好塩基球の機能制御に関してはほとんどわかってこなかった。昨年度の結果より、好塩基球が転写因子GATA-1を強く発現し、GATA-1をノックダウンした好塩基球ではIgEと抗原で刺激した際に起こる脱顆粒反応やサイトカイン産生が抑制された。このことから、GATA-1が好塩基球のIgE依存性の反応重要であることがわかった。今年度はGATA-1による好塩基球の機能制御メカニズムを解析することとした。我々は好塩基球がGATA-1をほとんど発現しないΔdblGATAマウスを用いて、正常マウスの好塩基球とΔdblGATAマウスの好塩基球のマイクロアレイを行った。その結果、ΔdblGATAマウスの好塩基球では高親和性IgE受容体であるFcεRIの下流のシグナル関連分子の発現が低下していることが明らかになった。また、anti-apoptoticな遺伝子やapoptotic facilitatorを解析したところ、アポトーシスを促進する方向に傾いており、GATA-1は好塩基球の機能や生存に影響を与える遺伝子であることが示された。<意義> 好塩基球は感染症防御、アレルギー疾患などにおいて重要な役割を果たすことがわかっていたが、好塩基球の転写制御に関しては十分には明らかになっていなかった。今回、GATA-1が好塩基球の機能および生存をコントロールする重要な因子であることが明らかとなった。<重要性> これまでの研究から、GATA-1は好塩基球が深く関与するアレルギー疾患などの治療のターゲットとして有効であることが示唆された。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
American Journal of Transplandation
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
doi: 10.1111/ajt.13764
http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/meneki/