研究課題
本研究では、臨床検体の遺伝子発現情報に対し、臨床病理学的因子/タンパク質相互作用/転写因子結合部位/シグナル伝達系などのパスウェイ情報/既存の治療薬などの情報を統合し、システム創薬の実現に向けたデータベース・アプリケーションを構築することを目的とした。部分最小二乗法(partial least square regression: PLSR)は、同様な多変量データ同士の回帰を行う正準相関分析に対し、変数の数がサンプル数を上回った場合(遺伝子発現情報は一般にこの状態である)においても、逆問題の正則化などの検討を行うことを必要とせず、より直接的な解析が可能であるという利点がある。本研究ではまず肝細胞癌を対象として、臨床病理学的因子などを含む患者情報と、DNAマイクロアレイで取得した遺伝子発現を用い、PLSRを用いて多変量データ同士の回帰を実施し、解析・解釈を行った。平成26年度~27年度は計算システムの選定と構築を行うとともに、部分最小二乗回帰の実装方法について検討した。統計処理言語Rおよび部分最小二乗回帰のライブラリである"pls"パッケージを用いてプログラムを作成し、開発と評価を行った。また、R言語において対話的なウェブアプリケーションを構築するためのライブラリである"Shiny"を用い、ユーザーが指定した因子を用いてリアルタイムに候補遺伝子を選定するシステムの開発を進めた。本研究の当初の目標では平成28年度にデータベース・アプリケーションの公開までを目標としていたが、研究期間内での公開には至らなかった。研究期間終了後も開発を続け、近い将来の公開を目指したい。また、肝細胞癌のみならず、治療が難しい他の疾患にも同様な創薬基盤データベースを展開することにより、新たな治療戦略の開発に寄与できるものと考える。
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