研究課題/領域番号 |
26870178
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
岩坂 将充 同志社大学, 高等研究教育機構, 准教授 (80725341)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | トルコ / 司法 / 政治 / 民主化 |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度まで明らかにした点のうち、1)憲法裁判所裁判官に対するEU・ヨーロッパ法曹の影響、そして2)憲法裁判所と現政権との「民主化」に関する見解の一致点・相違点、を踏まえ、「司法の独立性」の視点を再考することを主眼に研究に取り組んだ。 当初予定していたインタヴュー・資料調査を主とした現地調査は、調査地であるトルコ大都市部の治安・社会情勢の急激な悪化、ならびに7月中旬に生じたクーデタ未遂事件とその後発令された非常事態宣言の影響を受け、自由な調査が保障されない状況となったことから、実施を見送った。しかし、「司法の独立性」に関する報告を9月に国際学会にて行ったこと、そしてそこで得たフィードバックをもとに、以下の点をより明確にし研究をさらに進展させることができた。1)「司法の独立性」は裁判官人事だけではなく教育や交流といった側面もそれぞれ検討する必要がある。2)それらを管轄する諸機関(裁判官・検察官高等委員会:HSYKなど)の人事・教育・交流も重要である。3)「司法の独立性」は政府・与党だけではなく野党・NGOなどとの関係にも留意する。 これらは、本研究課題において重要な視点・指摘となるものであり、最終的な成果の取りまとめにも不可欠な要素であるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度半ばに生じたクーデタ未遂事件やその後の非常事態宣言の余波によって、当初計画していたような現地調査の実施にはいたらなかったものの、現地の状況を精査し、調査を次年度に延期するよう計画を早期に変更したことで、国際学会での報告およびそこでのフィードバックなどを活かすかたちで十分に研究を進めることができた。予期しない変更を強いられたが、研究全体としてはおおむね順調に進展したと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度実施にいたらなかった、本研究課題における最終的な現地調査ならびに最終成果の取りまとめを実施する。その際には、当初予定していたアンケートおよびインタヴュー調査の実現可能性について現地トルコの研究者・研究機関・調査機関と入念に確認し、慎重に検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題の主たる調査地であるトルコ大都市部での急激な治安・社会情勢の悪化、ならびに7月中旬に生じたクーデタ未遂事件とその後の非常事態宣言の影響により、当初予定していた現地での調査が実施困難な状況となった。国際学会での報告等により本年度も研究を進展させたが、次年度に現地調査を実施するよう計画を変更し、補助事業期間を延長した。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度実施予定だった現地調査(とくにアンケート・インタヴュー調査)の実施を、現地トルコの研究者・研究機関・調査機関とともに状況を確認しつつ慎重に検討する。実施可能と判断した場合にはこれを行うが、そうでない場合には、本年度までの研究成果を追加入手可能な資料や現地研究者との議論をもとにより精緻化し、研究成果の最終的な取りまとめを行う。
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