研究課題/領域番号 |
26870182
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
柴田 真希 東京藝術大学, 大学院音楽研究科, 研究員 (60721214)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 謡 / 能 / 民俗芸能 |
研究実績の概要 |
昨年度以前までに提供を受けていた、黒川能の師匠を務めている方の自宅に所蔵されてきた謡本について、資料のスキャンと目録作成作業を進めた。同時に、資料の保管環境の改善も進めている。 その中から、これまで黒川能について明らかになっている史実と照らし合わせた際に、黒川能の所演となった理由が明らかである曲、あるいは、観世流や宝生流といった現在も主要な流儀で歌われている謡と比較した際に、その詞章に明らかな異同が認められる曲を選定し、謡本の解読作業と撮影を進めている。 謡本の解読については、観世流や宝生流の謡の変遷を辿り、黒川能に残る謡と比較した際に、その詞章がどの時期に歌われていた謡なのかということを調べている。さらには、そこに謡本に残された書き込みと現在の黒川能の謡本を比較して、謡の表現に黒川内部においても変遷が見られるのかについても分析を進めている。 昨年度は、新型コロナウィルスの感染拡大による移動の制限によって、現地でのフィールドワークを実施することはできなかった。一方で、令和2年12月に行われた民俗芸能学会大会のフォーラムに登壇し、全国の民俗芸能の研究者と共に、コロナ禍の中で、現在の民俗芸能がおかれている状況を共有できたことは大変有意義であった。新型コロナウィルスによる伝承活動の休止は、能を演じる本番の中止という問題だけでなく、それにかかる練習機会の喪失、子供たちの習得過程への影響等々、様々な問題を孕んでいる。この点については、今後も注意深く見守っていく必要性があるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、昨年度は研究期間の最終年度と定めて、分析を進めた謡本について、当事者における細部の理解についてヒアリングを進める予定としていたが、新型コロナウィルスの感染拡大により、昨年度1年間は現地での能の奉納は一切中止となり、外部からの訪問も令和3年5月上旬時点においても不可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の改善が見られない現場において、令和3年度も現地への訪問が実現できない可能性も高い。令和3年度は、現地での確認作業に替わる手法を用いる必要性を感じている。現地での確認できない場合の代替手段として、現地の伝承者とオンラインで確認作業を進める方法も視野に入れて検討をしたい。同時に資料の目録化と環境整備も行い、現地の伝承者へ研究成果の還元を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額については、現地調査の旅費として使用する予定としていたが、新型コロナウィルスの感染拡大により、調査予定が全て取りやめとなってしまったため。残額については、次年度の現地調査の旅費として使用予定とする。
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