研究課題/領域番号 |
26870186
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
上田 光敏 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (90376939)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 耐熱金属材料 / 水蒸気酸化 / 保護性酸化皮膜 / 結晶方位 |
研究実績の概要 |
本研究では,耐熱金属材料の耐水蒸気酸化特性を向上させる母材集合組織の設計指導原理を確立するために,耐熱鋼の初期水蒸気酸化挙動における結晶方位依存性に着目し,保護性酸化皮膜の形成に及ぼす母材結晶方位の影響を検討している。 昨年度,オーステナイト系耐熱鋼のモデル合金であるFe-20Cr-10Ni(at.%)合金およびFe-20Cr-30Ni(at.%)合金を作製し,1073 Kにおいて初期水蒸気酸化実験を行った。また,EBSD法により表面に形成した酸化皮膜の組織形態と母材組織の関係を調査した。Fe-20Cr-10Ni(at.%)合金では,合金/酸化皮膜界面に保護性酸化皮膜の連続層が形成せず,酸化皮膜の組織形態も母材の結晶粒によらず均一であった。一方,Fe-20Cr-30Ni(at.%)合金では,Fe-20Cr-10Ni(at.%)合金に比べて,全体的に酸化皮膜の厚さが薄くなり,結晶粒によって酸化皮膜の厚さに違いが見られたが,粒内の合金/酸化皮膜界面に形成する保護性酸化皮膜の連続性には明確な結晶方位依存性は確認されなかった。 今年度は,Fe-Cr-Ni合金における保護性酸化皮膜の形成過程に及ぼすNiの影響に着目し,昨年度の試料に加えて,Ni濃度を変化させた合金を作製し,同様の解析を試みた。しかしながら,結晶粒径を調製した試験片の作製に時間を要してしまい,酸化挙動や酸化形態に及ぼす母材結晶方位の関係を明らかにするに至らなかった。 今後は,今年度作製した種々のFe-Cr-Ni合金を用いて水蒸気酸化実験を行い,酸化の形態(内部酸化もしくは外部酸化)や皮膜の組織形態と母材結晶方位との関係を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Fe-Cr-Ni合金における保護性酸化皮膜の形成過程にNiの影響が見られたため,Ni濃度を変化させた合金を作製し,保護性酸化皮膜の形成に及ぼす母材結晶方位の影響を検討している。今年度は,結晶粒径を調製した合金の作製に時間を費やしてしまい,酸化挙動や酸化形態に及ぼす母材結晶方位の関係を明らかにするに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,これまでに作製したFe-Cr-Ni合金を用いて1073 Kにおける水蒸気酸化実験を行い,内部酸化から外部酸化の遷移を伴う保護性酸化皮膜の形成過程を明らかにする。また,それぞれの合金について,酸化の形態(内部酸化もしくは外部酸化)や酸化皮膜の組織形態と母材結晶方位との関係を明らかにする。これらの結果をFe-Cr-Ni系状態図に図示すると共に,母材の結晶方位マップに対応するOxideマップを完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に購入する予定だったクロスセクションポリッシャー用CCDカメラの型式が古く,購入しても効率的に研究が遂行できないと判断したため,購入を取りやめた。また,酸化実験に供する合金の作製に時間を要し,酸化実験等が効率的に進められなかった。これらの理由により,平成27年度に残額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
酸化実験を効率よく遂行するために水蒸気酸化装置を増設する。また,卓上研磨機を購入し,効率的かつ迅速にEBSD解析に供する試験片等を作製できるようにする。
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