研究課題
ベアリングレスモータの簡単化・低コスト化のためには，能動的に磁気支持制御する軸数を低減し，回転子の位置を検出する変位センサ及び巻線の電流を制御するインバータを削減することが効果的であるが，一方，能動的な磁気支持制御を行わない受動安定方向の振動を如何に低減するかが課題である。したがって，本研究の目的は，能動的な制御軸数を低減した2軸制御及び1軸制御ベアリングレスモータに関して，受動安定方向の振動を低減する方法を明らかにすることである。前年度は，2軸制御ベアリングレスモータについて，回転子のz軸方向の振動を，変位センサを用いずに推定する新しい方法を提案し，その有効性を実験的に確認した。さらに，その推定値をフィードバックし，モータ巻線のd軸電流を制御することで，ダンピング力を発生させ，z軸方向の振動を低減可能であることを実験的に明らかにした。今年度は，1軸制御ベアリングレスモータについて，構造的に軸方向と半径方向の干渉が起こることを発見し，実際に軸方向の振動によって，半径方向の振動が発生することを実験的に明らかにした。また，軸方向の1次振動により半径方向の2次振動が発生するメカニズムを解明し，回転子の回転角度検出誤差の低減により，軸方向の1次振動を低減し，半径方向の2次振動を低減した。さらに，回転子を軸方向にシフトさせることで，半径方向の2次振動を低減可能であることを理論的及び実験的に明らかにした。また，回転子の定常的な半径方向変位を低減するため，半径方向の剛性を高めた新しい1軸制御シングルドライブベアリングレスモータの構造を提案した。試作機を製作し，安定に浮上回転可能であることを実験的に確認した。したがって，本研究は計画以上に進行し，目的を達成した。
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