研究課題/領域番号 |
26870194
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田原 正樹 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教 (80610146)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マルテンサイト変態 / 変形双晶 |
研究実績の概要 |
チタン合金における主要な塑性変形機構の一つである{332}<113>双晶は加工硬化を伴う良好な延性をもたらすと報告されており、学術的・工業的に非常に重要であるが、その発生メカニズムは依然として不明である。本研究ではこれまでの予備実験結果より、従来に無い新たな{332}<113>双晶の発生メカニズムを提案した。本研究ではこの独自の着想に基づき、{332}<113>双晶の発生メカニズムを解明することでチタン合金の変形挙動の材料学的基礎を確立することが目的である。そのために本研究ではチタン-ニオブ合金単結晶を用いて走査型電子顕微鏡(SEM) 内で圧縮変形させ、その場EBSP(後方電子線回折像)解析を行うこととした。 本年度は圧縮その場EBSP測定用の小型圧縮装置の作製と主要方位での圧縮試験を行った。本学の精密工作技術センターに助力を仰ぎ、試験片サイズが2 mm×2 mm×4mmまでの圧縮試験をSEMの内部で行うことができる小型の装置を作製した。また、これと平行して既に作製済みであったチタン-ニオブ合金単結晶から<001>、<011>、<111>の主要方位、および<113>を圧縮軸とする試験片(2 mm×2 mm×5mm)を切り出し、機械試験機を用いて圧縮試験を行った。その結果、いずれの試験片においても圧縮変形に伴うマルテンサイト相の応力誘起とすべり変形を観察することができた。 今後はSEM内での圧縮その場EBSP測定のみでなく、通常の機械試験機にCCDカメラを取り付け、圧縮変形中の試料の表面起伏の変化を撮影する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主要方位での圧縮その場EBSP測定を計画していたが、EBSP測定のみでは母相とマルテンサイト相の判別が予想以上に困難であった。この理由は二相間の格子変形歪み量が小さいことと、現有EBSP装置の性能が当初の想定よりも低かったことである。
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今後の研究の推進方策 |
EBSP測定のみでは当初の計画通りに研究を遂行することが困難なため、今後はEBSP測定と平行して圧縮変形中の試料表面(二面)の起伏をCCDカメラで撮影し、これを解析することで母相とマルテンサイト相の判別と双晶変形・すべり変形の詳細な解析を行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
・圧縮その場EBSP測定用装置に搭載予定であった高性能データロガーの購入を中止したため
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次年度使用額の使用計画 |
・計画変更に伴い新たに必要になったCCDカメラの購入費用に充てる
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