研究課題/領域番号 |
26870198
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
田中 基康 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (50633442)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ヘビ型ロボット / 段差昇降 / 拘束切換え / 冗長性 / 軌道追従制御 / 軌道計画 / 障害物回避 |
研究実績の概要 |
不整地踏破のための制御方法の確立をめざし,計画に記載していた1.「曲面環境におけるヘビロボのモデリングと制御系設計」,2.「曲面環境用ヘビ型ロボットの開発と制御法の検証実験」,3.「2平面環境におけるモデリングと制御系設計,自動経路生成法の開発」,4.「ヘビ型ロボットの改良(2平面環境に対応)と制御法の検証実験」,の研究を行った. 1については,曲面環境におけるうねり推進に基づく方法を考案し,シミュレーションにより有効性を確認した.2については曲面環境用のヘビ型ロボットの開発,螺旋捻転に基づく方法による検証実験を行い,成果は国内学会にて発表した.しかしながら,ハードウェア起因の問題が生じ,提案制御則の検証は不十分な結果となった.3については,2平面環境において目標軌道の追従と平面間の遷移を実現する制御則を提案した.また,2平面間を衝突なく移動する自動経路生成法についても提案した.4については,2平面間に対応したヘビ型ロボットの改良を行い,制御則の検証実験を行った.成果は国外論文誌に掲載された.自動経路生成法についても先頭にセンサを搭載することで検証実験を行い,成果は論文投稿中である. また,研究を進める上で「障害物が散在する環境での推進方法」の確立が不整地踏破において必須であることがわかり,新たな課題として,5.「2次元環境における全身の障害物回避」,の研究を行った.5については,先頭軌道を近似的に追従する制御方法と距離センサ情報に基づき全身の障害物回避を実現する制御方法を提案し,実機実験によりその有効性を検証した.これらの成果については国外論文誌に掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記載した1および2については全てに取り組んだが,検証実験の結果,開発した実機および制御方法の性能は不十分であり,新たな課題が生じた.生じた課題の解決は次年度以降に持越しとなった.よって,達成度は80%である.3,4については100%達成し,成果は国外論文誌に掲載されるとともに,経路計画方法については論文投稿中である.このように,当初の計画通りに進展した. 5については当初の計画には無かったが,大きな成果を挙げ国外論文誌に2編掲載され,当初の計画以上に進展した. 以上より,総合的には概ね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
曲面環境への対応は,ハードウェア起因の問題ですぐに取り組むことができない.特に,今年度の研究成果から,当初予定していたアクチュエータユニットでは曲面環境へ適応するために十分な精度およびトルクが得られないことがわかった.曲面環境へ適応可能なロボットを開発するためには新たな設計開発の時間が必要となる上,予算が大幅に不足してしまう.よって,次年度からは主に2平面環境を複雑化させ,不整地環境に近づけて研究を行うこととする.具体的には階段環境や非平行な複数平面を対象とし,ロボットのモデリングと制御系設計,ヘビ型ロボットの改良および制御法の検証実験を行う.以上の研究と並行し,予算の都合がつく限り,曲面環境に対応するヘビ型ロボットの検討を続ける. また,新たに生じた課題である障害物が散在した環境での推進については,障害物の回避だけでなく利用(体を押し付けて推進)を行う制御方法について検討を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
曲面環境用のヘビ型ロボットの改良において必要経費が膨大となって計画の見直しが必要となり,そちらに充てる予定だった金額が残額として生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
見直しが必要となった曲面環境用ヘビ型ロボットの改良について,改めて必要経費を抑えた検討を行うために使用する. また,次年度に検討を行う非平行な複数平面環境の踏破には,平面とロボットとの相対姿勢を検出するセンサ,センサ値を処理し送信するマイコン,センサやマイコンを搭載可能なロボットの開発が必要である.当初計画では想定していなかった物品であり,次年度使用額はこれらの購入にも充てる.
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