本研究の目的は、タイ北部のパヤオ県に位置するミエン族が暮らす山村(P村)を事例として、出稼ぎ者とその就労先を訪問することから、彼らの都市での暮らしぶり、そして出稼ぎ者たちと彼らの母村との関係、を明らかにすることである。調査の結果、P村の村民は、東北タイを中心にタイの全国で働いていた。就労内容を見てみると、都市部において豆乳販売業に従事している者が最も多かった。都市部に出稼ぎに出ている村民たちは、彼らが供犠として利用する家畜の購入、さらに村に残してゆく彼らの農地の貸与や管理を通じ、P村で農業を中心に生活を営む村民たちの生業活動に影響を与えていることが明らかになった。
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