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2015 年度 実施状況報告書

中国の戸籍制度が農村から都市へ移住した子供たちの人的資本形成に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 26870206
研究機関政策研究大学院大学

研究代表者

山内 慎子  政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (50583374)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード中国 / 移民 / 都市化 / 子供
研究実績の概要

農村から都市へ移住する安価な労働力は中国の急速な経済成長を支えてきた。しかしその裏で、親と共に都市へ移住した子供は差別を受け、学力や健康の悪化が懸念されている。この問題は深刻視されているにもかかわらず、科学的データに基づく包括的分析は未だ乏しい。この研究は、中国の主要地域をカバーする独自のパネル・データを使い、出稼ぎする親と共に都市へ移住した子供の人的資本(学力や健康状態)が、農村部にとどまる子供と比べてどう変化するかを分析する。さらに、移住者のための各市の政策や民間の取り組みを評価分析し、有効な差別緩和策に関する政策的インプリケーションを導く。

平成27年度にはRural-Urban Migration in China (RUMiC)というパネル・データの整備をさらに進めた。昨年度の研究結果から農村から都市へ労働移住した親が子供と一緒に都市で暮らしている確率は二割に満たず、中国独自の戸籍制度のため都市部での生活にはコストがかかることを反映していることが考えられた。また全体の身長や体重といった身体的成長を表す指標を見ると、調査年度にかかわらず都市部居住の農村出身の子供たちは平均的に小柄であることが分かったが、新たに居住状態の経年変化と合わせてみた所、これは長期的に都市部に住み続ける農村出身の子供が少ないことと関係していることが分かった。つまり、ある年に都市部で見つかった子供でも次の年やさらに次の年には田舎に帰っていることが多いため、都市部で何年も暮らしている農村出身の子供というのは少数派になることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究ではRUMiCデータのうち都市に居住する子供のサンプルを用いて、農村出身の子供と都市部出身の子供との間で健康状態や就学状態・学業成績に差がみられるか。農村出身者用の教育・医療サービスが整っている地域において差が緩和される傾向があるか、という課題を分析することを目的としていた。現在この比較分析は基礎的な結果がほぼ出そろい、農村出身の子供の方が都市部出身の子供よりも身体的・学業的に遅れているということが分かった。現在はこうした差が農村出身者用の教育・医療サービスが整っている地域において小さくなるかどうかを検証するために、主要な都市における農村出身者に対するサービスの情報を収集している。

今後の研究の推進方策

今後は現在行っている中国の主要都市における農村出身者に対するサービスの情報収集を続けて、これをデータとして用いられるように様々なサービスや政策をコード化することを目指す。これを利用することによりどのような農村出身者向けの政策が子供たちの身体的・学業的な成長の遅れを緩和するか、また子供たちの居住年数の変化に影響を及ぼすかについて分析ができるようになる。この作業においては中国語の分かるリサーチ・アシスタントや中国における公共政策に関する知識が必要となるため、共同研究者であるXin Meng教授と綿密に連携をとって作業を進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

平成27年度には早い時期から中国都市部における農村出身者向けの政策に関する情報を集めるためリサーチアシスタントを雇う予定でいたが、中国語のスキルがあり優秀な人材が見つからず、予定していたよりも雇用を早くから始められなかった。現在、共同研究者のXin Meng教授が少しずつ情報を収集しているが、条件の良いリサーチアシスタントが見つかり次第この作業を委託する予定である。

次年度使用額の使用計画

次年度に回された補助金は上記の目的に使用する予定である。

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公開日: 2017-01-06  

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