研究課題/領域番号 |
26870207
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
辻村 恭憲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00548935)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 嚥下 / 舌下神経 / 反回神経 / 咽頭圧 / 食道圧 / 筋電図 / ラット |
研究実績の概要 |
本研究は舌障害が嚥下機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし,27年度は両側舌下神経切断および両側反回神経切断モデルラットを用いて,神経切断が嚥下運動に及ぼす影響を検証した.7週齢のSD系雄性ラットの左側舌骨上筋,左側甲状舌骨筋および左側舌筋に係留したワイヤー電極より筋活動電位を導出し,気管カニューレから呼吸活動を計測した.さらにカテーテルを経口的に頸部食道まで挿入し,中咽頭(口蓋垂後方),食道入口部,頸部食道の3部位から嚥下圧を記録した.フォンフライ式フィラメントによる喉頭への機械刺激により嚥下を誘発し,嚥下関連筋活動の増加,呼吸サイクルの延長および嚥下圧変化により嚥下を同定した.嚥下圧は,健常動物において個体間で差を認めたものの,個体内では繰り返しの試行において高い再現性が確認された.舌骨上筋活動ピークを基準として,舌筋,甲状舌骨筋,中咽頭圧(陽圧),食道入口部圧(陰圧),頸部食道圧(陽圧)のピークまでの時間をそれぞれ計測した.健常ラットと比較して,舌下神経切断モデルラットにおいて中咽頭圧ピーク時間が短縮されたものの,その他のパラメータに違いは認められなかった.一方,反回神経切断モデルラットにおいては,いずれのパラメータも有意な変化は認められなかった.続いて,嚥下時運動のパラメータとして,舌骨上筋および甲状舌骨筋活動,咽頭圧および食道圧の積分値をそれぞれ測定した.いずれのモデルラットも健常ラットと比較して筋活動量に違いは認められなかったものの,舌下神経モデルラットでは中咽頭圧が,反回神経モデルラットでは食道入口部圧が有意に低下した.今後は舌障害モデル動物において,舌接触補助床のように舌と口蓋部の接触圧を高めることで嚥下時運動がいかなる変化を生じるか検証していく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は健常ラット,舌下神経切断および反回神経切断モデルラットを用いて,嚥下運動(嚥下関連筋活動、咽頭圧、食道圧)の変化を記録することに成功したため.
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今後の研究の推進方策 |
取得したデータの解析に加え,舌障害モデル動物に対して舌と口蓋の接触圧を高める臨床的アプローチに近い検証を行っていく予定である.また最終年度であるため総括を行い,できるだけ早期に国際学術誌への投稿を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
組織学的・薬理学的実験を実施しなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
行動学的実験で興味深い結果がでたので,予定を変更して行動学的実験に焦点を当て研究を進めていく.
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