研究課題
糖尿病は、失明・透析・下肢切断などの深刻なQOL低下をもたらす種々の合併症を伴う高頻度慢性疾患であり、その早期発見および、発症高危険群の同定の効率性向上が急務である。現在、多くの糖尿病発症予測モデルが開発されているが、糖尿病患者は一向に減ずる気配を見せていない。その一因として、これまでの多くの糖尿病発症予測モデルは生活習慣関連が主体であり、遺伝要因の検討が不十分であったことがあげられる。現在、ゲノムワイド関連解析(GWAS)の発展により、ゲノムレベルで数多くの糖尿病感受性遺伝子(risk allele)が同定されている。本研究は、これらのrisk alleleと糖尿病との関連性を定量化し、今後の予測モデルの開発の改善に役立てることを目的とした。本プロジェクト内で3本の論文を発表し、risk alleleの保有度合いと糖尿病リスクとの定量性の全貌が明らかになった。本年度の論文”Quantitative relationship between cumulative risk alleles based on genome-wide association studies and type 2 diabetes mellitus”ではrisk allele 1つ保有あたりの糖尿病リスクを定量化し、肥満指数のような従来の糖尿病危険因子と発症リスク規模の比較を行った。また、”Quantitative assessment of genetic testing for type 2 diabetes mellitus based on findings of genome-wide association studies.”ではGWASを用いた糖尿病遺伝子テストの糖尿病予測精度をシミュレーション化し、今後の糖尿病遺伝子テストの有用性の指針となる重要なエビデンスを導いた。
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