生クリーム等で代表されるエマルジョンやサスペンションを用いたフォームは、界面活性剤、水、空気からなる一般のフォームに比べて桁違いに寿命が長い。泡の寿命の長短はプラトー境界における排水で決まるが、エマルジョンのドロップレットはこの排水を阻害するため長い寿命を実現できていると考えられている。本研究はエマルジョンのドロップレットがプラトー境界に詰まる「ブロッキング現象」がどのような条件下で生じ、どのようなメカニズムで解消するかを明らかにし、エマルジョンフォームの寿命をコントロールすることを目的として実施された。 エマルジョンフォームにおけるブロッキング現象解明のため、毛細管および単一粒径のラテックスビーズを分散させたサスペンションを用いたモデル実験を構築し、粒子の沈降挙動を観察しその解明を測った。粒子の動きをトラッキングすると、粒子は毛管壁面と粒子との間に生じる流れ場だけでなく、粒子同士の流れにより複雑な軌跡を描きながら沈降する様子がわかる。特にブロッキングの生じる瞬間、またそれが解消される瞬間の粒子挙動は複雑であり、用いた系ではレイリーテイラーの不安定性によるものが強いと考えられる。異なる粒子径を有する2種類のビーズを混合させるとき、その混合割合に依らずブロッキングの発生は強く抑制された、その効果は粒径のサイズ比が大きいほど顕著であった。これはジャミングによりブロッキングが生じるとする説を否定する結果である。
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