研究課題/領域番号 |
26870212
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
藤野 俊和 長岡技術科学大学, その他の研究科, 講師 (70508514)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | トライボロジー / 雪氷 / 機械材料 / 特殊環境 / 流体 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、除雪機械等の性能向上と安全性革新のための合理的かつ効率的な設計開発において渇望されている、「低温」環境のもと互いに「高圧接触」、「高速せん断」する条件下における雪と機械材料間および雪内部の摩擦および付着・粘着特性を解明することである。本研究目的を達成するために、本年度は以下を実施した。 1.環状せん断特性実験解析システムの高度化 雪と機械材料間および雪内部のせん断特性の計測のほかにせん断界面における水の発生や流動等の高速かつミクロな現象を高精細に撮影・観察し解析可能な環状せん断特性実験解析システムを設計開発した。鉛直方向高圧負荷対応、せん断界面とその近傍における現象の可視化等の高度化を図った。本システムの中核をなす環状せん断装置は、光線透過率が高いアクリル製のせん断内・外ケースおよび上部・下部せん断リングより構成される。せん断内・外ケース内に実験対象の雪を充填する。上部せん断リングは回転方向に固定とし、実験装置最上部設置のベロフラムシリンダにて、せん断内・外ケース内の雪試料に垂直力を負荷する。この状態で下部せん断リングをACサーボモータで回転駆動することによって雪と機械材料間および雪内部にせん断力を高速に負荷する機構とした。雪に負荷する鉛直荷重をベロフラムシリンダ直下設置の引張圧縮用ロードセル、雪と機械材料の接触面あるいは雪内部のせん断面に生じるせん断抵抗力すなわち摩擦力と付着・粘着力を上部せん断リング設置のビーム型ロードセル、せん断角速度を下部せん断リング下設置のロータリエンコーダによりそれぞれ計測できるシステムを構築した。 2.実験環境システムの構築 本年度経費にて購入設置した恒温室(プレハブ冷凍冷蔵庫)内に上述した環状せん断特性実験解析システムを設置して、低温環境下における雪の摩擦および付着・粘着特性の解明を目的とした実験を行う環境システムを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画は、雪と機械材料間および雪内部のせん断特性を計測可能な「環状せん断特性実験解析システム」をせん断界面における水の発生や流動等の高速かつミクロな現象を高精細に撮影・観察し解析することも可能なシステムに高度化すること、ならびに制御された低温環境下で実験解析するための環境システムを構築することである。本年度は「9.研究実績の概要」に述べたように、環状せん断特性実験解析システムの高度化についてはおおむね順調に進展した。また、恒温室内の温度は、最も特性の解明がなされていない濡れ雪を扱う除雪機械等の使用条件を考慮し-10~5[℃]の範囲で制御可能であり、低温環境下で実験解析可能な環境システムもおおむね構築できたと考える。よって総合的に判断し「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度独自に設計開発し高度化した環状せん断特性実験解析システムによる雪と機械材料間および雪内部の摩擦および付着・粘着特性の実験解析を、恒温室内において-10~5[℃]の低温環境のもと, 垂直圧力0~100[kPa]、せん断速度0.1~25.0[m/s]の高圧高速条件下にて実施する。雪としては,新雪,しまり雪およびざらめ雪など多様な種類の雪質を実験対象とする。 せん断界面における水の発生や流動等の高速かつミクロな現象を高速度ビデオカメラにて高精細に撮影し観察する。得られる動画情報と摩擦および付着・粘着特性評価に必要な垂直およびせん断抵抗力等の力情報を統合解析し、摩擦および付着・粘着特性との相関関係を考察する。
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