研究実績の概要 |
本研究では、1)胃及び結腸上皮に、TRPV4イオンチャネル及びアデノシン三リン酸(ATP)を濾胞内に取り込む小胞型ヌクレオチド輸送体(VNUT)が発現し、2)伸展刺激によりTRPV4活性化を介して、VNUTによって濾胞内に取り込まれていたATPが開口分泌(エキソサイトーシス)によって放出され伝達物質として機能することを明らかにすることを目的とした。 26年度は、1)遺伝子・蛋白発現解析、2)小動物の消化管上皮を用いた機能解析、3)消化管上皮細胞に伸展刺激を加えた際のATP放出検討を行った。 27年度は、1)正常ヒト胃上皮細胞株取得及び解析、2)VNUT欠損マウスにおける発現解析、3)胃上皮細胞におけるsiRNA実験を行った。 28年度は、1)正常ヒト胃上皮細胞株におけるTRPV4発現と活性化によるATP放出、及び小動物における胃排出への影響、2)胃上皮細胞におけるTRPV4のメチル化制御機構、3)消化管上皮における内因性TRPV4活性化因子の定量化の試み、を行った。 29年度は、1)結腸上皮細胞株の取得・選定と、TRPV4の発現、ATP放出検討、2)胃・結腸上皮からのTRPV4活性化によるATP放出の新規VNUT阻害剤(Clodronate)での阻害実験、3)消化管上皮細胞株、および小動物の消化管において、各種内因性TRPV4活性化因子とその代謝産物(5,6-EET、8,9-EET、5,6-DHET、8,9-DHET)を測定しえた。 4)当初は、胃上皮、結腸上皮が研究対象としていたが、小腸上皮細胞株、小動物の小腸にTRPV4、VNUTの発現を確認し、TRPV4活性化によるATP放出を確認した。
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