本研究では、文処理における依存関係の構築を対象とした2つの課題に取り組んだ。第一に、依存関係の構築処理の相互作用である。本研究では、疑問詞疑問文とかき混ぜ文の2つの依存関係を対象に、どちらが優先的に構築されるかを検討した。読み時間計測実験の結果、疑問詞疑問文の依存関係が優先的に処理されることが明らかになった。第二に、依存関係の構造的な距離が常に文処理負荷の大小の決定因子であるかを検討した。構造的距離が長いために処理が難しいとされてきた目的関係節であっても、適切な統語的文脈が与えられれば、処理が容易になることを示した。
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