研究課題/領域番号 |
26870223
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
古泉 達矢 金沢大学, 法学系, 准教授 (90724831)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中国史 / イギリス帝国史 / 国際関係史 / 威海衛 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、中国農村内部の社会結合をめぐる英国人植民地官僚の認識が、東アジアの英領植民地・租借地の統治政策にいかなる影響を与えたのかを分析することにある。より具体的には、イギリスの租借地であった威海衛、とりわけその都市周縁に広がる後背地の農村に焦点を当てる。 1年目となる本年度は、日本国内に所蔵されている威海衛関係の所蔵状況を把握し、これらを収集することを主な目標とした。この方針に従い財団法人東洋文庫等において、同文庫が所蔵するモリソン・パンフレットに収められている威海衛関連の文書や、イギリス人植民地官僚として香港および威海衛の統治政策に深く関与したジョンストン(R. F. Johnston)による著作等の関連資料を調査・収集したほか、先行研究の整理を行なった。その結果、ジョンストンや彼の先輩にあたるスチュアート・ロックハート(J. Stewart Lockhart)など、威海衛の統治政策に足跡を残した植民地官僚による同地の村落社会をめぐる認識は、威海衛同様にイギリスの植民地であり、彼らが勤務した経験を持つ香港での自らの経験からも様々な影響を受けている可能性があり、彼らが執筆した史料を読解する上でこの点に留意する必要があることが明らかとなった。 そこで威海衛をめぐる作業と平行して、イギリスによる香港、とりわけ新界における農村社会の統治についても再検討を開始した。この目的のため、10月下旬から11月上旬には香港およびその周辺地域(澳門、広州)を訪問し、関連資料を調査・収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、日本国内に当初の想定を超える威海衛関連資料が所蔵されている可能性が高いことが判明した。さらに、香港とその周辺地域における調査もまた予想以上に充実したものとなった。このため、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降については、引き続き日本国内に所蔵されている威海衛関連資料の調査・収集に努めるほか、イギリスおよび東アジア各地に所蔵されている資料もまた順次調査・収集し、それらを読解・分析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
来年度に重要な支出を予定しているので、その分今年度の支出を抑制した。
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次年度使用額の使用計画 |
現地調査のための旅費や資料の複写費等に充てる。
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