本研究では、ヒトiPS細胞の肝細胞への分化過程で発現が変動する細胞表面タンパク質について解析し、新規接着性材料を作製することを目的として研究を行った。前年度に作製したマトリゲルに代わる新規の接着基質であるビトロネクチンの一部を用いた組換えタンパク質を用いてヒトiPS細胞から肝細胞様細胞へ分化誘導を行った。さらに、各分化過程で発現が変動する遺伝子をqPCR ArrayおよびDNA microarrayにより解析した。その結果、複数の特異的な細胞接着分子を絞り込むことができた。 細胞表面タンパク質の網羅的な解析と並行して、肝前駆細胞に特異的に発現している2つの細胞接着性タンパク質に着目し、接着基質として作製を行った。しかしながら、作製した融合タンパク質は接着活性が認められなかった。そのため、上記の絞り込んだタンパク質を元にした融合タンパク質を用いた検討が必要である。
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