研究課題/領域番号 |
26870237
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
三塚 健太郎 山梨大学, 総合研究部, 医学研究員 (70402071)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Indoleamine dioxigenase / malignant glioma / T-reg / temozolomide / 1-MT |
研究実績の概要 |
これまで未解明であった悪性グリオーマにおけるIDOの発現と免疫回避機構の解明を研究の発端とし、グリオーマ組織におけるIDO発現と組織学的悪性度の相関及び、二次性膠芽腫の悪性転化に伴うIDO発現の亢進と生存期間の関連性を証明したことで、IDO阻害による抗腫瘍効果の有効性が示唆された。その後、マウスにおける追加の検証で、悪性グリオーマの皮膚移植モデルを作成した。その結果、TMZ単独投与に比べ、IDO併用群での抗腫瘍効果の上乗せが確認された。今回は頭蓋内への悪性グリオーマ移植モデルを作成した。IDO阻害薬投与による生命予後の延長効果は確認されたものの、有意差は得られなかった。血液脳関門を介した阻害剤の浸透性が影響していることが考えられ、別の有効薬剤を用いた検証が必要な状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年提出した進捗状況時に、H27年度の課題とした「頭蓋内モデルにおけるIDO阻害剤の腫瘍縮小効果」の検証が終わり、論文として発表できたため。また、今回の報告から、トリプトファンの代謝酵素であるIDOが、グリオーマの局所免疫回避機構に関与していることが明らかになり、この阻害が有力な治療ターゲットになり得ると考えられた。現在、米国では、我々が実験で使用したIDO阻害薬を使用して再発膠芽腫に対するphase II studyを行っているところで有り、結果が注目されている。
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今後の研究の推進方策 |
IDOに加え、Tryptophan dioxigenase (TDO)による抗腫瘍効果を検証し、IDO, TDOの併用効果についても明らかとする。IDO阻害薬としてさらに低分子で脳血管関門を通過する阻害薬を検証したい。さらに、IDO阻害薬と現在注目されている免疫チェックポイント阻害薬やVEGF抗体との併用により抗腫瘍効果の相乗効果あるいは負荷効果がないか検証したい。また、IDO阻害による免疫学的な効果とTregとの関係をマウスモデルで検証し、そのメカニズムについて解明し行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
IDO阻害薬としての有効性を現在検証中である。いくつかのIDO阻害薬の候補から有効性の高いIDO阻害薬がしぼられた時点で、マウスモデルによる検証を行う予定である。 それまでin vitroの実験の検証を継続していく予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
まずは、いくつかのIDO阻害薬によるトリプトファンの代謝抑制機能を検討する。つぎにマウス同種移植モデルにより生存率の違いを検討する。さらに、IDO阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬やVEGF抗体との併用を行い、免疫機能の賦活作用を検証する。
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