研究実績の概要 |
がん細胞における腫瘍免疫回避機構の機序解明は、重要な課題である。必須アミノ酸であるトリプトファンの代謝亢進は、リンパ球の活性化を抑制し腫瘍免疫を阻害する機能を有する可能性が示唆されている。また、各種がん細胞が、トリプトファンの代謝酵素であるインドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ(IDO)の阻害により、腫瘍免疫の賦活化が報告され注目されている。 我々は、ヒトグリオーマ摘出組織におけるIDO発現と組織学的悪性度及び予後との相関を明らかにし、IDOがグリオーマの進展に関与している可能性を報告した。そこで今回、IDO阻害による抗腫瘍効果とテモゾロミド(TMZ)との併用効果についてマウスグリオーマモデルを用い検討した。 マウスグリオーマモデルにおいてIDO阻害は腫瘍体積を抑制し、生存率を延長させた。IDO阻害により抗腫瘍効果を示すT細胞が増殖する機序が考えられた。さらにTMZとの併用により相乗的な抗腫瘍効果を有することから、IDOが悪性グリオーマの有力な治療ターゲットになる可能性が示された。
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