研究課題/領域番号 |
26870243
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
山田 名美 岐阜大学, 大学院連合創薬医療情報研究科, 研究員 (40727319)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 癌微小環境における細胞間コミュニケーション |
研究実績の概要 |
本研究は、がん細胞の免疫回避機構における分泌膜小胞の役割とその分泌メカニズムを明らかにすることを目的としている。本年度は、大腸癌細胞が分泌する膜小胞に内包される免疫抑制関連分子の発現および機能解析を行った。結果、大腸癌細胞が分泌する膜小胞にはTGFbが豊富に含まれていること、膜小胞の受け手となったT細胞内のSmad signallingおよびJNK/p38 signallingを調節することにより、T細胞のcell cycle arrestを引き起こし増殖を抑制するとともに、免疫寛容の担い手であるregulatory T cell (Treg)-like cellへの分化を促進することが分かった。大腸癌細胞においてTGFbのgene silencingを行うことで、分泌膜小胞に含まれるTGFbの量が減少し、Treg-like cell誘導能が低下することも分かった。さらに、膜小胞により分化誘導されたTreg-like cellは確かに in vitro、in vivoにおいてTreg のように機能することを確認した。すなわち、大腸癌細胞の増殖をサポートする機能を有することが確認された。大腸癌細胞は膜小胞を分泌することによって、自身を攻撃する免疫担当細胞を手なずけ、tumor microenvironmentをより住みやすい環境へと変化させていることがわかった。ここまでのデータを論文にまとめ、現在 The Journal of Immunologyに投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に行うことを計画していた研究を順調に遂行し良好なデータを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に則り推進していく予定であるが、現在育児休業中のため、研究計画の変更および、研究期間の延長を申請する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年9月より産前産後の休暇および育児休業を取得したため(2015年7月31日までの予定)
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画に記載した内容を遂行するため、研究期間を1年延長して使用する計画である。研究期間延長申請を別途行う予定である。
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