2017年9月にスウェーデンのオスカーシャムを訪問し、地層処理実験施設(エスポ)と使用済み核燃料の中間貯蔵庫(Clab)、キャニスター実験施設を見学し、地元におけるコミュニケーション過程について、処理主体であるSKBで地元住民とのコミュニケーションに携わった職員当事者から話を聞いた。地元オスカーシャムの自治体担当職員にも聞き取り調査を実施し、使用済み核燃料に関する自治体の対応について調査した。また、使用済み核燃料処分について研究しているイェーテボリ大学のUrban Strandberg教授を訪問し、スウェーデンで処分場の立地が進んでいる要因として、①原子力オアシス(nuclear oases)への立地、②地方自治体としてのmunicipalityの重要性、③トップ政治家の気質、④経済的なメリット、⑤SKBのコミュニケーション手法、⑥市民・住民参加について議論した。 2018年3月には、使用済み核燃料処分を研究しているフィンランドのTapio Litmanen教授(ユバスキュラ大学)を招聘し、国際シンポジウム「高レベル放射性廃棄物の処分と社会的合意:フィンランドと日本の比較から」を開催した。シンポジウムでは、高レベル放射性廃棄物処分問題における人文社会科学の役割・立ち位置についての日本とフィンランドの相違や、フィンランドの政治文化としての「Political pragmatism」が処分場問題に与えた影響について議論がされた。また、今後の国際共同研究について協議した。 日本における原発立地自治体の調査として、浜岡原発の地元である佐倉地区の浜岡原子力発電所佐倉対策協議会(佐対協)を中心に明らかにした。特に、3号機の立地過程を佐対協と御前崎市、中部電力の交渉、佐対協の改組問題を中心に調べ、浜岡原発と地域社会の関りについて明らかにした。
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