本研究では,高齢者の「焦り」による認知的制御の妨害メカニズムを明らかにすることを目標として,(1)焦りの情動の心的状態を反映した客観的指標として心拍RRIデータの利用可能性を検討したが,若年者のみ適応可能であることを明らかにした。また,高齢者は若年者と比較すると心理尺度で「焦り」の主観的側面を反映した尺度を構築することは難しい可能性があることを明らかにした。2)高齢者の焦り状態時の認知的制御の特性を検討したところ,作動記憶の個人差と焦り場面での認知的制御の関係性を明らかにした。3)作動記憶容量の個人差を測定する計算スパンテストの短縮版課題の日本語版を作成し公開した。
|