研究課題
本研究課題が目指す酵素機能同定法は,「植物に一過的に生合成候補酵素を過剰発現させ,植物自身に蓄積している代謝産物を基質とすることで,植物体内で酵素活性試験を行い,生成された代謝産物を化学分析することにより生合成酵素の機能を解明する。」という手法である。本手法は植物自身の「代謝産物」や「酵素反応の場」 (植物ポテンシャル) を利用するため,大腸菌や酵母などを利用したin vitro酵素活性試験に比べ,「基質を必要としない」,「酵素抽出が不要」という特徴がある。基質の入手が難しい場合や,候補遺伝子のスクリーニングに効果を発揮する酵素機能同定法として期待できる。平成26年度においては,テルペン未知生合成遺伝子の探索に適した植物プラットーフォーム (イソペンテニル二リン酸/ジメチルアリルピロリン酸 (IPP/DMAPP) の高蓄積組換えタバコ) を作製するために1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸生合成酵素遺伝子とチャ由来モノテルペン生合成酵素遺伝子をタバコに導入し,モノテルペン生成量を定量分析した。その結果,1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸生合成酵素遺伝子をタバコに一過的に導入することで,モノテルペン生成量が著しく増加した。このことからテルペン生合成の出発物質であるイソペンテニル二リン酸/ジメチルアリルピロリン酸 (IPP/DMAPP) を高蓄積した代謝改変組換えタバコを作成できた。
2: おおむね順調に進展している
1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸生合成酵素遺伝子だけでなくモノテルペン生合成酵素遺伝子をタバコに一過的に導入することで,モノテルペン生成量が著しく増加させることに成功した。このことは,平成27年度に目標とした「イソペンテニル二リン酸/ジメチルアリルピロリン酸 (IPP/DMAPP) を高蓄積した代謝改変組換えタバコの作製」を達成した。
1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸生合成酵素遺伝子やモノテルペン生合成酵素遺伝子だけでなく,テルペン配糖体を例にとり,IPP/DMAPP高蓄積組換えタバコに,テルペンP450酵素,テルペン環化遺伝子,P19遺伝子をアグロ注入法により導入し,代謝産物の変動解析を行う。
試薬の納入が次年度にずれ込んだため,次年度使用額として16309円生じた。すでに執行済みである。
平成27年度内に試薬の納入が遅れたが,平成28年度すぐに執行済みである。
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日本家政学会誌
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イオサイエンスとインダストリー(B&I)
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http:/​/​dx.​doi.​org/​10.​1104/​pp.​15.​00403